たまには肩の力を抜いて... (雑談)
このブログではこれまでブログ名のとおり、国家試験に直結する内容ばかりでした。
しかしこれからは息抜きがてら、雑談チックな内容も更新していきます。
内容は勉強全く関係ないことや、診療放射線学科の学生が悩みそうなことなど、その時
の自分のインスピレーション任せの内容を、時更新していこうと思います。国家試験の
勉強や期末試験の勉強に疲れたとき、読んでいただけたらとっても嬉しいです。そして
良かったら是非コメントください。
国家試験のまとめもどんどん更新していきます。今後とも当ブログをよろしくお願いし
ます。
信号検出理論とROC解析 画像工学
まず、信号検出理論に関する重要語句の解説です。
・異常(または信号)があることを陽性という。
・異常(または信号)がないことを陰性という。
・異常(または信号)がある画像に対して、異常(または信号)がありと判断した場合を真陽性という。
・真陽性率(TPF)を感度という。
・感度は有病正診率(病気(信号)があると正しく診断(判断)した確率)ともいわれる。
・異常(または信号)がない画像に対して、異常(または信号)がないと判断した場合を
偽陰性という。
・真陰性率(TNF)を特異度という。
・特異度は無病正診率(病気(信号)があると正しく診断(判断)した確率)ともいわれる。
・FPF(偽陽性率)、FNF(偽陰性率)もある。(この2つには、感度、特異度のような特別な名称はありません)
・TNF+FPF、FNF+TPFは1となる。(※〇〇Fのうち、3文字目のFを除いた、TとF、PとNの組み合わせが全く一致しないものを足すと1になると無理やり覚える方法もあります。)
次にROC解析に関する重要語句の解説をしていきます。
《ROC》
・ROC解析はCTとMRI画像の病変検出能の違いを評価できる。
・ROC解析はコンピューター支援診断(CAD)の性能評価に用いる。
・ROC曲線作成過程にて、5段階のカテゴリーを用いた方法は評定確信度法である。
・ROC曲線作成過程にて、連続的な判定基準に応じたスコアを使う方法は連続確信度法という。
・評定確信度法は連続確信度法に比べ、観察者間の変動が大きくなる。
・ROC解析では刺激⁻反応行列が関係する。
・ROC曲線の縦軸はTPF(真陽性率,感度)である。
・ROC解析の評価にはAz(AUCともいう)と呼ばれるROC曲線下の面積を用いる。
・Azは1に近いものが望ましい。
・Azの最大値は1、最小値は0.5である。
・ROC曲線間の統計的有意誤差検定にt検定、Jackknife法がある。
・t検定は観察者間の変動のみを考慮した検定法。
・Jackknife法は観察者間の変動に加え試料間の変動も考慮した検定法。
・LROCはROCの病変(信号)の有無に加え病変の位置の検出まで考慮している。
・FROCは一枚の画像の中に複数個の病変を含んだものを対象としている。
・FROC曲線の縦軸はROC曲線と同じくTPFである。
5月7日 国試1日1問 基礎医学大要(心疾患,血流循環)
問.
肺血流が増加する疾患は何か❓
解答.
心房中隔欠損症、心室中隔欠損症
解説.
今回解説する内容は心疾患についてです。これから紹介する内容は心臓に関する基礎的な知識がないと理解するのに時間がかかるかもしれません。そういう方のために記事の後半に心臓の基礎知識をいくつか紹介してあります。よかったら参考にしてください。
・肺血流を心疾患の特徴は肺で循環した血液が左心系から右心系に流れる、いわゆる左右シャントの状態を作り出す疾患がこれに該当します。
・左右シャントを起こす心疾患は心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、心内膜床欠損症、動脈管(ボタロー管)開存症です。
・一方で、右左シャントの心疾患は肺血流の減少を起こします。これは全身を巡っ心臓に戻ってきた静脈血が右左シャントにより、肺へ行き動脈血に交換される前に、全身へ静脈血のまま送り出されてしまいます。当然、肺に血液が行っていないので肺血流は減少します。
※両シャントがどのようなものか原理を理解しておいてください。心疾患の具体例はとりあえず左右シャントの方だけで大丈夫です。だいたいの問題はシャントの原理と心臓の血液循環の経路や少し心筋についての知識があれば選択肢は対応できるからです。
ここからが後半です。
《心臓の基礎知識》
・血液循環の経路は静脈(静脈血)→右心房→(三尖弁)→右心室→肺動脈(静脈血)→肺(ここで静脈血は動脈血に交換)→肺静脈(動脈血)→左心室→(僧房弁)→左心房→(上行)大動脈
・心筋は左心と右心では左心の筋肉の方が厚いです。これは左心が全身に血液を送り出さなくてはならないためです。
また、左心の心筋がより発達しているということは左心の血圧は右心に比べ高いとも言えます。なので中隔欠損症で血圧の高い左心から血圧の低い右心へと血液が流れる(左右シャントがおこる)のも納得できます。
X線管装置(X線可動絞り、付加フィルタ) 診療画像機器学
今回は暗記色の強い内容になっています。JIS規格も出てきます。国試突破のための知識を必要最小限の量書きました。
最初はX線可動絞りについて解説します。
《X線可動絞り》
・X線可動絞りには、上羽根、下羽根、奥羽根、付加フィルタがある。
・X線可動絞りの構造はX線管焦点に近い方から順に奥羽根、付加フィルタ、下羽根、ミラ―、上羽根となる。
・上羽根は使用するX線を必要最小限に設定。照射野の制限。
・下羽根は散乱線や漏れ線量を低減させる。
・奥羽根は焦点外X線の低減効果がある。
・付加フィルタの着用は被ばくの低減効果がある。
次はJIS規格についてです。JIS規格は理屈どうのこうのという話ではなく、そういう取り決めになっているものなので、頑張って正確な暗記を心がけましょう。
《X線可動絞り(JIS規格)》
・最大照射野はSID65cmで35㎝×35㎝を超えない。
・最小照射野はSID100cmで5㎝×5㎝以下。
・光照射野の平均照射野の照度はSID100cmで100lx以上。
・X線照射野と光照射野のずれはSIDの2%を超えない。
・漏れ線量は管電圧125kV以下の歯科用装置で積算値が0.25mGy/hを超えない。その他の装置では積算値が1.0mGy/hを超えない。
可動絞りの一部である付加フィルタ。付加フィルタについては多少掘り下げた問題も出題されます。ですので少々解説を加えておきます。
《付加フィルタ(一般撮影用)》
・総濾過は2.5mmAl以上
・一般的な材質にはAl、Cuが使用される。
・AlとCuを併用する場合にはCuをX線管側にする。
・装着により、被ばくの低減効果がある。
・装着により低エネルギー成分が減少。実効エネルギーが高くなる(線質が硬くなる)。
・画像のコントラストが低下(線質が硬くなるため)
・X線管への負荷が増大する。
X線管装置(ヒール効果、ブルーミング効果、焦点外X線、許容負荷、正焦点、副焦点など) 診療画像機器学
今回解説する内容は、得意な人と苦手な人がはっきり分かれる分野だと思います。下級生や文系出身の方は特に苦手意識があるかもしれません。
ですから、今回の解説は苦手意識のある方でもスムーズに国試合格レベルに到達できるように工夫しました。
苦手意識のある方は理屈で難しく考えようとはせずに、まずは想像力をフルに活用し「イメージ的にはこんな感じかなぁ」ぐらいで読み進めていってください。
どうしてもイメージが湧きにくいものに関しては教科書の図と照らし合わせながら読んでみてください。
《X線管装置》
・X線管装置とはX線を発生させる装置です。陰極(フィラメント)から発生した電子ビームを陽極(ターゲット)にぶつけて放射状にX線を発生させます。また、電子ビームが衝突したターゲット上の部分の面積は実焦点と呼ばれます(実焦点については後程詳しく説明します)。
・放射状に発生したX線は自身のX線発生強度とX線(空間)強度分布を持ちます。
・「X線強度は陰極側に近づくほど強くなっていき、陽極側に近づくほど弱くなっていく」といったような分布になります。この現象をヒール効果といいます。また、ターゲット角度が小さいと分布変化の度合いは激しくなります。ざっくり言うと、これはターゲット角度が小さいほど発生したX線が減弱の影響を受けやすいからです。
とりあえず全体的な話はこれくらいです。これ以降は陽極(ターゲット)に関連する重要な語句を解説していきます。
ここからは、先ほど保留にした実焦点について解説していきます。
《実焦点・実効焦点》
・実焦点はターゲット上で電子ビームが衝突した部分の面積をいいます。
・実効焦点はX線管の利用線錐の方向から見たときの投影面積をいいます。
・焦点の大きさは管電圧、管電流で変化する。管電圧を高くすると低いときに比べ、電子ビームはより強い力でターゲットに引っ張られることでビーム幅が細くなるため、結果的に焦点は小さくなる。また、管電流を高くすると低いときに比べ、放出される電子の量が増えることで、電子同士の反発力が大きくなる(電子はマイナスの電荷を持っているため、マイナスとマイナスで反発しあう)。これにより、高管電流の場合は焦点が大きくなります。
・管電流により焦点の大きさが変化する現象をブルーミング効果という。
・実焦点の大きさはターゲット角度でも変化します。ターゲット角度が小さいほど実焦点面積は小さくなります。
・焦点の大きさ(寸法)は測定できます。その測定法にはピンホールカメラ法、スリットカメラ法、解像力法がある。(測定法の名前は確実に覚えておいてください。具体的な測定の仕方は本当に余力のある人だけでいいと思います。)
はじめの方に、陰極(フィラメント)からの電子によりX線は発生すると述べました。しかし、電子を放出するのは陰極(フィラメント)だけではありません。陽極(ターゲット)からも発生します。
《焦点外X線》
・ターゲットに衝突した電子の一部は散乱を起こし二次電子となります。このような二次電子は一度陽極の外に飛ばされます。しかし、電界の影響を受け再びターゲットに引き戻され衝突。こうやって発生したものを焦点外X線といいます。
・焦点外X線は焦点近傍で最も多く発生します。
・焦点外X線は焦点近傍は軟質です。焦点から離れると電界の影響が大きくなるため、線質は硬くなります。
・焦点外X線の発生は固定陽極よりも回転陽極で多い。
・X線可動絞りの奥羽根で除去する。(X線可動絞りは別の機会に解説します)
次は、X線を発生する際に生ずる、ターゲットへの負荷について説明していきます。
この負荷の種類には短時間負荷、長時間負荷、混合負荷の3つがあります。(特に重要なのは短時間負荷と長時間負荷です。)
また、それぞれ負荷の許容範囲について、短時間許容負荷、長時間許容負荷といい方をします。
《短時間負荷》
・一般的なX線撮影にて大電流かつ短時間で加えられた負荷のこと。
・短時間負荷は焦点面の温度で制限されます。
《短時間許容負荷を増やす条件=焦点面の温度を低下させるための条件》
・陽極回転数を増加させる。
・焦点軌道直径を大きくする。
・実焦点面積大きくする。
・ターゲット角度小さくする。
・リプル百分率を小さくする。
《短時間許容負荷の式》
この式を用いて計算させるタイプの問題も出題されています。
短時間許容負荷(比負荷)= √陽極回転数× √焦点軌道直径
もう一つ、X線管の短時間最大入力P[W]の式も押さえてください。よく出題されます。
P[W]=管電圧×管電流×f(fの値は問題で与えられる条件によって3種類の中から選択)
f=1.0:リプル百分率が10%以下(12ピーク,定電圧)
f=0.95:リプル百分率が10~25%(6ピーク)
f=0.7::リプル百分率が25%以上(2ピーク)
《長時間負荷》
・透視撮影のように小電流で時間の長い負荷のこと。
・陽極全体の温度で制限される。
《長時間許容負荷を増やす条件=陽極全体の温度を低下させる条件》
・陽極熱容量を大きくする。
・冷却効率を高くする。
最後にその他の重要用語として正焦点、副焦点について解説する。
《正焦点と副焦点》
・正焦点はフィラメントの前面から発生した電子が形成する焦点のこと。
・副焦点はフィラメントの側方や後方から発生した電子が形成する焦点のこと。
・電子密度は副焦点よりも正焦点が大きい。
・正焦点、副焦点の寸法は集束電極中のフィラメントの深さにより決定される。
《副焦点を小さくする条件》
・集束電極の溝幅を狭くする。
・フィラメントの深さを浅くする。(浅くした場合、正焦点は大きくなる)
5月6日 国試1日1問 基礎医学大要(骨格筋、心筋、平滑筋)
問.(第67回 午前 第52問 改)
横紋筋組織が存在するのはどこの筋肉か❓
解答.
心臓
解説.
筋肉の種類と構造に関する問題はよく見かける問題の一つのように思います。いまから解説することがよく問われるので、しっかり押さえておいてください。
《筋肉の特徴とその分類》
・筋肉には骨格筋、心筋、心筋以外の内臓筋がある。
・筋肉は筋繊維(筋細胞)と呼ばれる細胞からなる。
・骨格筋の筋繊維(筋細胞)は多核細胞。
・心筋、心筋以外の内臓筋の筋繊維(筋細胞)は単核細胞。
・心筋、心筋以外の内臓筋は自律神経支配。骨格筋は体性神経支配。
・心筋、心筋以外の内臓筋は不随意筋(自分の意思で動かせない筋肉)。骨格筋は随意筋(自分の意思で動かせる)。
・骨格筋、心筋は横紋筋と呼ばれる筋肉に分類。
・心筋以外の内臓筋は平滑筋と呼ばれる筋肉に分類。
《横紋筋とは❓》
・筋肉の色が明るい部分(明帯)と暗い部分(暗帯)が交互にあり、縞模様になっている。
《平滑筋とは❓》
・横紋筋のように縞模様のない筋肉。
CR装置 (診療画像機器学)
《CR装置とは》
・CRはIP(イメージングプレート)にX線像を記録してから出力するまでのシステム。
・IPには輝尽蛍光体(BaFX:Eu²⁺,Xはハロゲン)が使用されている。
・IPは白色光を照射することで画像データを消去できる。これによりIPは繰り返し使用できる。
次は撮影に用いたIPのデータを読み取り、出力するまでの過程を解説する。それぞれ構成する部品の名称と役割は重要事項です。
《CR読み取り装置》
・はじめにIPを読み取り装置にセットする。
・ポリゴンミラーを用いてレーザー(赤色)を横方向に走査。レーザーをIPに照射し、輝尽蛍光体を励起する。
・レーザーにより励起した輝尽蛍光体は青紫色に発光する(波長約400nm)。
・発光した青紫色の光は集光ガイドにより集められ、光電子増倍管(PMT)に取り込まれ増幅される。
・青紫色の光の波長はPMTの感度域に一致している。したがって、選択的に輝尽発光のみを読み取ることができる。
・PMTで増幅された信号はA-D変換器を経てデジタル信号として出力される。
さいごに、国試に出るCR装置の特徴を列挙しておきます。以下の事項を押さえておくことで、対応できる選択肢の幅が広がると思います。
《CR装置の特徴》
・読み取り用のレーザー(赤色)には、He-Neレーザー、半導体レーザーが使用される。
・読み取り用の赤色レーザーの波長は約600nm。
・CRは読み取り装置が別になっているため、FPDのようにリアルタイムでの観察はできない。
・増感紙―フィルム系に比べダイナミックレンジが広い。
・X線CTに比べ高空間分解能。
・両面集光方式では、検出効率が向上する。
・読み取りの画素サイズは、一般撮影用で100~150µm、乳房撮影用では50µm。
・CRでは自動感度調整機構(EDR)による処理もなされる。(その他にも階調処理、周波数処理なども行われる。)