診療放射線技師国家試験要点まとめ&国試1日1問(解説付き)

合格点取るために必要かつ十分な知識、ムダのない効率の良い勉強をサポート…を意識した要点まとめ

標準化の規格(DICOM,HL7,IHE)と重要用語の解説(医用画像情報学)

前半では、標準化の規格について解説。後半はその他の重要語句を解説している。

なじみのない語句がたくさん出てきて、少々ややこしく感じる人もいるかもしれない。

そういう人は肩の力を抜いて、じっくりと文章を読んでほしい。書かれてある語句と語句とのつながり(関係性)を意識して読めば、内容が頭に入ってくると思う。 

 

《DICOM》

 

医用画像の通信と保存の規格

 

・画像には世界で唯一となる固有の識別子がついている。

 

・機器をネットワークに直接接続可能な規格である。(※ただし、DICOM規格に準拠していればすべての機器同士接続可能なわけではない!!)

 

・DICOMの提供するサービスの中にMPPSMWMがある。

 

・MPPSは装置(例えばCT)からRISへ検査実施情報(照射条件など)を転送する。

 

・MWMはRISからの検査オーダー情報(検査予約リストなど)を装置(例えばCT)が取得する。

 

・DICOMにはGSDFがあり、モニタの画像表示の整合性をとるためのもの。

 

・GSDFは関数である。GSDFの横軸はJND(輝度)である。

 

 

 

《HL7》

 

医用画像情報交換の標準規格

 

・DICOMとは別の文字情報の標準規格が用いられている。

 

・HIS-RIS間での患者基本情報のやりとりを行う。

 

 

 

《IHE》

 

・IHEは医療情報システムのガイドライン作りなど、ユーザ、ベンダーの連携のもと、検討を進める活動。

 

・IHEは医療連携のための情報統合化プロジェクトという言い方もされる。

 

・IHEは様々な場面ごとに、統合プロファイルを作成している(以下の5項目がそれに該当する)。

 

・IHEのSWFは予約検査時の情報交換の規格。

 

・IHEのPIRは患者情報の整合性の規格。

 

・IHEのCPIは画像表示の一貫性を確保するための規格。

 

・IHEのPDIはCDなど可搬性画像データ交換の規格。

 

 

 

ここからは、後半戦。

その他重要用語の解説をおこなう。↓↓

 

 

《ICDコード(ICD-10)》

 

・標準化により、高精細な医用画像のデータべースが構築可能となり活用されるようになったもの。

 

世界保健機関(WHO)により公表された国際的な疾病の分類

 

 

 

《HIS》

 

・病院情報システム

 

・HISでは患者基本情報をHL7にて管理する。

 

オーダーエントリシステムにて処方や検査の依頼(オーダー)を効率的におこなう。

 

 

 

《RIS》

 

放射線情報システムのこと。

 

放射線部の検査情報などを管理。

 

・RISの役割には照射録の作成、検査の予約管理、検査の実施情報入力、モダリティとの情報連携がある。(※例えば、患者の基本情報入力はHISで行う。RISの役割ではないので注意してほしい。)

 

 

 

《PACS》

 

・医用画像保管・管理・通信システム。

 

・医用画像を一元的に保管し、医師が画像を必要とする際に、スムーズに表示することのできるシステム。

 

RIS-PACS間のやり取りにはDICOMのStorageという規格を用いる。

 

・遠隔診断システムにも利用されている。

 

 

 

 

《遠隔画像診断システム》

 

テレラジオロジーとも呼ばれる。

 

・遠隔地で撮影した画像を、離れた場所でも読影できるシステム。

 

医師不足により普及しつつあるシステム。

 

医用画像のシステムに関して(ただし、計算問題は除く)は、これで十分合格点レベル思います。

あとはセキュリティについてですね。今回のシステムとセキュリティで医療情報に関する分野は完成します。

セキュリティに関してはまた完成し次第更新します。

感染症の感染経路(5月5日 国試1日1問  基礎医学大要)

問.(第66回 午後 第15問 改)
飛沫感染する感染症を2つ答えよ。

解答.
風疹、インフルエンザウィルス

解説.

感染経路を問う設問はよく見かける。基礎医学大要の中では必ず押さえておきたい分野の一つである。
以下の知識はどれも重要だが、型による肝炎の感染経路の違いは確実におさえておいてほしい。

感染経路には、

①経気道感染(さらに飛沫感染と空気感染に分かれる)

②接触感染

➂経口感染

➃血液感染



飛沫感染

・インフルエンザ

流行性耳下腺炎(いわゆるおたふくかぜ、ムンプス)

・風疹


《空気感染》

結核

・麻疹(はしか)

・水痘   など


《接触感染》

MRSA

疥癬

・STD   など


《経口感染》

感染性胃腸炎(ノロウィルスなど)

A型肝炎

・E型肝炎

《血液感染》


B型肝炎

C型肝炎

HIV感染  など


また、血液感染を接触感染に含め、経皮感染、接触感染、創傷感染、媒介体感染としてまとめる分類法もある。

《創傷感染》

・創傷による破傷風

・咬傷による狂犬病


《媒介体感染》

・蚊による日本脳炎

・シラミによる発疹チフス




これまで述べてきたもの以外に、感染症を水平感染か垂直感染かに分類することもある。
垂直感染の感染症はよく問われる。暗記しておいてほしい。

《垂直感染の感染症

HIV

・風疹

B型肝炎

成人T細胞白血病

ビタミンと疾患の関係性(5月4日 国試1日1問 基礎医学大要)

 

問.(第66回 午後 第21問 改)

血液凝固異常を生じるビタミンはなにか。

 

解答.

ビタミンK

 

解説.

 

ビタミンの欠乏によりどのような疾患は生じるか。これは、国家試験でよく聞かれるポイントである。また、模擬試験でもよく見かける印象がある。しっかり覚えておいてほしい。

 

・ビタミンA欠乏 ━ 夜盲症

 

ビタミンB1欠乏 ━ 脚気ウェルニッケ脳症

 

ビタミンB2欠乏 ━ 口内炎など

 

ビタミンB12欠乏 ━ 悪性貧血赤血球の分化・生成の障害)

 

・ビタミンC欠乏 ━ 壊血病

 

ビタミンD欠乏 ━ 骨軟化症(成人)、くる病(幼児)

 

・ビタミンE欠乏 ━ 免疫機能障害

 

・ビタミンK欠乏 ━ 血液凝固障害による出血

 

 

また、ビタミンには水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがある。そのビタミンがどちらに分類されるかは答えられるようにしておいたほうが良い。

 

脂溶性ビタミン》

 

・ビタミンA

 

ビタミンD

 

・ビタミンE

 

・ビタミンK

 

脂溶性ビタミンD,A,K,E(だけ)覚えておけばいい。上記のビタミン以外は水溶性と答えることができる。

5月3日 国試1日1問(画像工学)

問.(第67回 午後 第45問 改)

次式で処理される画像処理は何か。ただし、g(x,y)は処理後の画像、f(x,y)は原画像、fa(x,y)は平滑化画像で係数hの変数とする。

 

g(x,y)=f(x,y)+h(fa(x,y))

 

解答.

ダイナミックレンジ圧縮処理

 

解説.

画像処理に関する式は、ダイナミックレンジ圧縮処理とボケマスク処理の式を覚えておけば十分だと思います。2つの処理の違いを意識してください。

 

《ダイナミックレンジ(DR)圧縮処理》

 

・式は g(x,y)=f(x,y)+h(fa(x,y)) と表される。

 

X線画像のダイナミックレンジが広い場合、原画像の階調を適切に出力できない場合がある。このようなときダイナミックを圧縮することで、原画像の階調の出力を適切なものに調整結果として診断可視域が広がる

 

・圧縮の仕方は、診断に不要な低周波成分を除去する。高周波成分のコントラストは残したままにする。

 

《ボケマスク処理》

 

アンシャープマスキング処理非鮮鋭マスク処理ともいわれる。

 

・画像の高周波成分のコントラストを増加させ、画像の鮮鋭化を目的とする。

 

・式はg´(x,y)=f(x,y)+ β[ fa(x,y)−g(x,y)] となる。

ただし、g´(x,y)はボケマスク処理後の画像。f(x,y)は原画像。βは重み係数。

g(x,y)はボケマスク像。 

 

※式の意味を考えて覚えることが無理!どうしても丸暗記するしかない人は、引き算されていたらボケマスク処理、されていなかったらダイナミックレンジ圧縮処理と覚えることをおススメする。今のところ、このような覚え方でも十分対処できる問題しか国家試験には出題されていないはずである。

 

 

5月3日 1日1問国試(診療画像検査機器学)

 

問.(第68回 午後 第14問)

X線CTの日常点検項目は何か❓4つ答えよ。

 

解答.

ノイズ、スライス厚、コントラストスケール、高コントラスト分解能(※幾何学的歪みは含まれない)

 

解説.

今回解説する内容はいわゆる点取り問題。以下の内容はもれなく覚えてほしい分野である。

X線CTの日常点検項目には以下のものがある。

コントラストスケール       (コ)

②➂高・低コントラスト分解能    (こ)

➃ノイズ              (ノ)

⑤空間分解能            (く) 

⑥スライス厚            (ず)

⑦線量指数(CTDI)         (C)

の7項目がある。

 

語呂:コこノくずC

 

X線CTの不変性試験項目には以下のものがある。また、点検頻度も併せて覚えておくとよい。

 

①ノイズ         1ヶ月ごと

②平均CT値        1ヶ月ごと

➂均一性         1ヶ月ごと

➃空間分解能       3ヶ月ごと

⑤スライス厚       1ヶ月ごと

⑥線量          6ヶ月ごと

⑦患者支持台の位置決め  1ヶ月ごと

 

点検の際、点検項目ごとに何を用いるかも重要である。

 

・ノイズ   ━ 水ファントム

・スライス厚 ━ コインファントム

・空間分解能 ━ ステンレス鋼線

・CTDI    ━ メタクリル樹脂

・患者支持台 ━ レーザービーム

放射性核種の無担体分離法(その他)

放射性核種の無担体分離法には以下の5つがある。

 

①共沈法

 

②溶媒抽出法

 

➂イオン交換法

 

クロマトグラフィ

 

その他

 

今回は⑤その他について解説する。

その他の放射性核種の無担体分離法には以下の方法がある。

 

電気泳動

・ラジオコロイド法

・電気化学的分離法

・ジラードチャルマーズ法(ホットアトム法)

・蒸留法

 

電気泳動法》

 

電解質溶液(電解液)に浸したろ紙の両端に電圧をかけて、電解液内のイオンを、電荷の大きさ、粒子の形、大きさの違いにより分離する。

 

・支持体にろ紙を用いたろ紙電気泳動、支持体にポロアクリルアミドゲルをガラス管に充填したものを用いたディスク電気泳動という。

 

《ラジオコロイド法》

 

・ラジオコロイドがろ紙へ吸着する性質を利用。濾過による分離。

 

保持担体を添加する。

 

・溶液はアルカリ性にする。

 

《電気化学的分離法》

 

・電気化学的分離法には、試料溶液に電圧をかけて酸化還元反応をおこし放射性核種を分離する方法がある。

 

・電気化学的分離法には、金属元素イオン化傾向の差を利用した分離する電気化学的置換法内部電解法もある。

 

イオン化傾向は、イオンになりやすい順から、K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au となる。

語呂「貸そうかな、まぁ あてにするな、ひどすぎる借金」

 

《ジラードチャルマーズ法(ホットアトム法)》

 

・核反応によって生成したホットアトム(反跳原子)の反跳エネルギーを利用して分離する。

 

《蒸留法》

 

・沸騰させて得られた気体を再び冷却して液体として得ることを蒸留という。

 

揮発性化合物や揮発性元素(Ge、As、Seなど)の放射性同位体蒸気圧の差蒸気のなりやすさ)を利用して分離する。

 

・蒸気圧の差によって、蒸気になりやすさに違いが生じる。蒸気圧が高いと蒸気になりやすく、蒸気が低いと蒸気になりやすい。

5月3日 1日1問国試 (放射線計測学)

 

問.(第69回 午前 第81問 改)

Mg₂SiO₄:Tbを用いる放射性検出器は何か❓

 

解答.

熱ルミネセンス線量計

 

解説.

線量計に関する知識は守備範囲が広く、放射線計測学のみならず、他の科目の点数アップの基盤となる分野である。したがって、十分学習しておく必要がある。

 

 

検出器とその材質の組み合わせは以下のようになる。

 

半導体検出器 ━ Si(シリコン)、Geゲルマニウム)が代表的。

 

・蛍光ガラス線量計 ━ 銀活性リン酸塩ガラス

 

・光刺激ルミネセンス線量計 ━ α‐Al₂O₃:C

 

・熱ルミネセンス線量計 ━ Mg₂SiO₄:Tb

 

・シンチレーション検出器 ━ 無機物質[NaI(Tl)、ZnS(Ag)、CsI(Tl)、LiI(Eu)、BGO]、有機物質[プラスチック、液体、アントラセン