放射化学(オートラジオグラフィ)
Q1.オートラジオグラフィとは?
A1.放射性核種を含む試料をフィルムや乳剤と密着させ、核種の分布などを直接乳剤に記録するものです。
Q2.オートラジオグラフィには何がある?
A2.オートラジオグラフィには以下の4種類があります。
・マクロオートラジオグラフィ
X線フィルムに記録。肉眼で観察します。
・ミクロオートラジオグラフィ、飛跡オートラジオグ
ラフィ
原子核乳剤に記録。光学顕微鏡で観察します。
・超ミクロオートラジオグラフィ
超ミクロトームに記録。電子顕微鏡で観察します。
Q3.オートラジオグラフィの試料作成法は?
A3.次は、オートラジオグラフィの試料作成法についてです。作成法は5つあります。作成法の内容まで聞かれることは中々ないと思います。ただ作成法の名称は覚えておいた方がいいかと思います。
・コンタクト法
・マウント(=スミア法)
・ディッピング法
・ストリッピング法
・インバート法
中でも、一般的に広く使用されているディッピングは詳しく解説しておきます。
ディッピング法は生乳剤を温めてゲル状にし、この中に試料を浸して乾燥させることで、薄い乳剤膜を試料上に作る方法です。
Q4.オートラジオグラフィの解像度を上げる方法は?
A4.オートラジオグラフィの解像度を上げる方法はよく問われるポイントですが、まず、頭に入れておいて欲しい公式?のようなものがあります。
それは、
「解像度と感度は相反関係にある」ということです。
要するに、
「解像度を上げようと思えば、感度が下がりそうなことをすればよい」ということになります。
これを、念頭に置いとくと、これから挙げるポイントの暗記が楽になります。
では解像度を上げる方法を記します。
・試料と乳剤の密着度が高いこと。
・低エネルギーβ線の放射体を使用する。
・飛程の短い核種を使用。
・露光時間を短くする。
・高い解像度のための最適核種は3H。
ほかには14Cもそれなりに良い。
・乳剤層が薄い(厚いと露光時間長くなるため)。
・乳剤の種類が微粒子であること。
上記の内容に少し補足を行います。
・試料と乳剤の密着度が低かった場合、試料と乳剤の間に空気層ができるため、乳剤に映る像が必要以上に大きくなることで、ボケる。結果解像度の低下を招きます。
・前述の通り、解像度向上のために乳剤は薄い方がいいのは確かです。しかし、飛跡オートラジオグラフィでは、飛跡を記録するので、乳剤膜は厚くなってしまいます。