放射線に対する生体の反応(放射線生物学)
今回は、放射線に対する人体への反応に関する重要事項をまとめています。
《 直接作用 》
・被ばくにより、直接生体内の分子が電離または励起されること。
・高LET放射線はほとんどの場合、直接作用にて生体に影響を与える。
《 間接作用 》
・被ばくにより生成したフリーラジカルが二次的に生体に影響を与えること。
・間接作用はヒドロキシラジカル(OHラジカル)による作用が主である。
・低LET放射線はほとんどの場合、間接作用にて生体に影響を与える。
・高LET放射線の生体への影響のうち、間接作用による寄与は小さい。
《 温度効果 》
・低温状態で照射すると、細胞の致死効果が低下する。
《 酸素効果 》
・酸素存在下(酸素分圧の高い状態)で照射を行うと、細胞の放射線感受性が上昇すること。
・低LET放射線は酸素効果による影響を受ける(感受性が2.5~3.0倍に上昇)。
・高LET放射線は酸素効果による影響はほとんどない。
・放射線照射後に酸素分圧を高めても、酸素効果はみられない。
《 保護効果 》
・-SH基を持つ化合物などの存在下では、放射線による影響(間接作用)を軽減することができる。
・保護効果を持つ物質を放射線防護剤という。
・高LET放射線(主に直接作用)には防護剤が有効ではない。