有機シンチレータ (放射線計測学)
今回は有機シンチレータについて解説します。有機シンチレータは国家試験的には、液体シンチレーションカウンタ、プラスチックシンチレータ、アントラセンなどが代表的です。
《有機シンチレータの特徴》
・実効原子番号が低い。このため荷電粒子(α線、β線)の測定に適する(γ線の測定には適さない)。
・水素(=有機物質)を含むため、高速中性子の測定も可能。
・ 無機シンチレータに比べ、発光減衰時間が短い。
・発光減衰時間とは最初の発光量が1/eになるまでの時間。
次に、液体シンチレーション検出器を解説します。シンチレーション検出器には様々な種類がありますが、国家試験において液体シンチレーションカウンタは特徴、構造が比較的詳細に問われる検出器の一つではないかと思っています。
《液体シンチレーションカウンタ》
・溶質(蛍光体としての働きを持つ)には第1溶質(PPOなど)、第2溶質(POPOP)がある。
・第2溶質は第1溶質から放射された光の波長を、PMTの感度域と同程度の波長に調整するため波長シフタともいわれる。
・2本のPMT(光電子増倍管)と同時計数回路を必要とする。
・クエンチングがある(欠点)。クエンチングにより蛍光量が減少する。
・クエンチングには化学クエンチング、濃度クエンチング、色クエンチング、酸素クエンチングがある。
・クエンチングの補正法には、内部標準線源法、外部標準線源法、チャネル比法、外部標準線源チャネル比法、効率トレーサ法がある。
《プラスチックシンチレーション検出器》
・α線、β線、高速中性子の測定に適する。(低原子番号なためγ線の測定には適さない)
・光減衰時間が短く、時間分解能が高い。
《アントラセン》
・α線、β線、高速中性子の測定に適する。(現在はあまり使用されていない)
・昇華性がある。