5月8日 国試1日1問 基礎医学大要(自己免疫性疾患)
問.(第65回 午後 第16問 改)
黄色肉芽腫性胆嚢炎、シェーグレン症候群のうち自己免疫性疾患でないのはどれか。
解答.
黄色肉芽腫性胆嚢炎
解説.
この問題は黄色肉芽腫胆嚢炎に関する知識を問う問題ではないと思う。この問題は自己
免疫性疾患に関する知識がどの程度定着しているかを問う問題だと考えられる。よって、今回は自己免疫性疾患について解説する。自己免疫疾患には全身性のものと臓器に特異的なものとがある。まずは全身性の自己免疫疾患から紹介する。
そもそも全身性の自己免疫性疾患は膠原病と呼ばれる。
《膠原病》
・全身性エリテマトーデス(SLE)
・強皮症
・関節リウマチ
・シェーグレン症候群
・多発性筋炎
・多発性皮膚炎
・リウマチ熱
・重症筋無力症
次に、臓器に特異的な自己免疫疾患を紹介する。
《臓器に特異的な自己免疫疾患》
・橋本病(甲状腺)
・クーロン病(消化管)
・潰瘍性大腸炎(消化管)
・Ⅰ型糖尿病(膵臓)
・自己免疫性溶血性貧血(血液)
異常が自己免疫性疾患の代表例になります。これらの疾患の名称は確実に覚えてください。ただ、これらの疾患の中には名前を知っているだけでは国家試験的に不十分だというものもあります。それに該当する疾患に関する出題ポイントを後半は解説していきます。
《膠原病》
・女性に多く、とりわけ若い女性に見られる疾患。
・膠原病で患者数が最も多いのは関節リウマチ。
・シェーグレン症候群は涙腺や唾液腺が障害され、機能(分泌)低下を起こす。
・リウマチ熱は心内膜炎、心臓弁膜症の原因。
・重症筋無力症は神経の刺激が筋肉に伝達されないことで起こる筋力低下。
《臓器に特異的な自己免疫性疾患》
・バセドウは甲状腺機能亢進症であり、橋本病は甲状腺機能低下症。両疾患はホルモンが関係する疾患である。詳細は他のホルモンが関係する疾患を紹介する際に一緒に掲載する。
・クーロン病と潰瘍性大腸炎は比較しながら頭に入れておいたほうが良い。クーロン病は多くは回腸から広範囲に、病変が不連続的(飛び石状)に広がる 。10歳後半から30歳前半の人に発症する。一方で、潰瘍性大腸炎は直腸から広範囲に、病変が連続的に広がる。20歳前後の男性に好発。